Blog
2016.11.20
歩粉デザートコース in Berkeley ☆

img_2619

前回のブログからの続きで、ある催しとは、、。

バークレーでお世話になったおうちの方、シェパニーズのペイストリーのスタッフを招いての歩粉(私)のデザートをコーススタイルで召し上がっていただくというもの。  歩粉ってどんなお店?と尋ねられた時に、デザートを盛り合わせのスタイルで召し上がって頂くカフェです。とお答えしておりましたが、デザートSセットが1皿に3種、デザートフルセットが2皿で6種の盛り合わせでした。  今回はよりスペシャル感を出して6品を一皿ずつ提供していくフレンチスタイル?にしよう!と友達と相談して決定しました。  このスタイル、実は初めてではないのです。相談にのってくれたお友達(小川純一くん)、彼の提案で何と今から3年前に鎌倉の自宅兼アトリエで、初の出張歩粉デザートコースやっていました!この時も、あつらえなど相談しつつも、純くんの素晴らしいセンスにほぼお任せ状態なくらいで、それはそれは贅沢な今となっては幻のデザート会でした。  まさか3年後にバークレーで、この出張歩粉が再び行なわれるとは!私も純くんも想像だにしていませんでした。(恵比寿の歩粉がなくなるなんて1ミリも考えていなかったしね、、)

今年6月に東京に滞在した時に、すでに9月歩粉のデザート会するとなったら、全面的に出来ること協力するからね〜って何とも心強いお言葉を頂いていて。9月にバークレーにも来てくれる事を約束し、あっという間に8月も半ばとなった時。もうそろそろメニューを決めて、日本から調達してこなければならない材料があれば注文して運んでもらうお願いをしたりせねば、、と思うものの、一向にメニューが浮かばない、、、。完全にビビってます、、この一年以上自分のお菓子というのを、ほとんど作ってきてなかったら私、ホントに自分のお菓子作れるのかしら?って自信もなにもありゃしない、、、って心境に。メニューを書くために開いたメモ帳を、ぼーっと眺めるだけで一文字も筆が進まない。挙げ句の果てに、私自分の出来ることが分らなくなってきた、、、と友達だから言えるメールを書いて、逃げ出したくなる気持ち(この会ナシにしてもいいのでは?くらいのニュアンスで、、)を正直に伝えたら、、、。僕は歩粉のすごいファンだったから、歩粉のメニュー全部覚えているし、また食べたいものもいっぱいあるから、メニューいくらでも考えてあげるよ。って、もうもうもう、、泣けてくる返事が。

アメリカにやってきてから、英語が分からない単語覚えられない、喋れない、いろんなコンプレックスで自己否定ばっかりしていたおかげで?過去の記憶すら思い出せないことがここのところ多くて、真剣に私、脳みそのどこかが冒されているのでは?と悩んだくらいで、40代半ばに近づくと、こんなにも記憶力が衰えるのか!?記憶喪失?って愕然として、、。自分が親に、これ前にも言ったやん!って偉そうに言っていた言葉、もう言えない。いろんなことが抜けていくもんなんだね〜。年をとるってこういうこと〜って実感せざるを得ないのだから。

話を戻して、メニューです!歩粉で出していたものそのままでいいと思うよ〜ってアドバイス+純くんの食べたいリクエストを考慮したら、すぐに出来上がりました〜。自分が忘れても、覚えてくれている人がいるって素晴らしい!

1皿目、豆乳くずもち、小豆の炊いたの、杏子のコンポート添え。歩粉の定番中の定番。2皿目、冷たいお汁粉、白玉だんごを浮かべて。 日本のスイートスープとして。  3皿目、ゴルゴンゾーラと胡桃のスコーン、オリーブとローズマリーのスコーン。  4皿目、黒ごま豆腐ティラミス。これは新作!和の素材をより感じて欲しくて。  5皿目、南瓜のアイス(八つ橋添え)生姜のアイス(きな粉をかけて)  6皿目、ガトー緑茶、歩粉の6月の人気メニューでした。

今回も空間のあつらえや、飲み物は純くんに担当してもらって、黒米の甘酒を手作りしてくれたり、お得意のオリジナルハーブティーや、自宅から摘んで乾燥させて作ったビワの葉とシナモンのお茶。そして浴衣姿でサービス役まで。

豆腐クリームのティラミスは、ぜひ作って!とリクエストされていたので、イチゴは時期ではないし、最初あんこを挟んで珈琲シロプと緑茶パウダーをかけて仕上げるティラミス(ホーローバットで作るうちのお菓子、主婦と生活社のムック本でレシピを提供した中の一つ)にしようかと考えていたのですが、コースの前半に小豆を使ったメニュー2品あるので違ったものがやっぱりいいな、、、と思った時に、日本を感じさせる素材にゴマってピッタリくる、どうせなら見た目からゴマ感がはっきり出る黒ゴマを使おう!という流れで出来上がった、生地の部分も黒練りゴマすりゴマを入れて焼き上げ、豆腐クリームと杏子のコンポートも刻んで挟み込んで、黒に綺麗なオレンジ色がチラリと見えるのも良し、味に酸味が加わるのも良し、ナイスなコンビ!って発見。上から黒ごまをかけるのも、アメリカ人から見たらスゴいインパクトに違いない!って思って。

そして、どうしても食べて貰いたかったのが、緑茶を使ったデザート。アメリカでも抹茶ラテやら、抹茶アイス、抹茶マフィンなど、注目されてきているのかな〜?ジャパニーズティーとは思えるものの、見た目の淡い黄緑色からして、これ甘いだけで抹茶の味、香りはほとんど感じられないよね〜?というようなものばかり。  ここは、ガツンと緑茶を味わって頂きたい!と、歩粉のデザートの中でもとびきりインパクトのあるガトー緑茶。ガトーショコラの緑茶バージョンとして生み出した、これでもか!というくらいの緑茶味スイーツです。  純くんに歩粉のお菓子は磯谷さんの根性が入ってるから”根性ケーキ” なんて名言?貰ってたけど、最後に根性緑茶ケーキで〆、どや〜!といった構成に。

豆乳のくずもち、あんこもお汁粉も、基本的に甘さ控えめで作っているから、アメリカの方の反応はどうかしら?と心配していたけれど、どれも素材を活かしているのを分ってくれているので、すごーく気に入ってくれたみたい。予想通り、黒ごまのティラミスが出て来た時には、何これ〜!!って感じでビックリしていて。「アメリカのデザートと、全く違うけど、このままで他でも受け入れられると思うよ〜、美味しい!!」とシェパニーズのペイストリーシェフからお墨付き頂きました!  わぁ〜い、いつの日か黒ごまティラミスちゃんが、アメリカで普通に食べられる〜なんてことになるのかしら?あはっ。  そして、ガトー緑茶!濃ゆい〜!この緑茶の苦みと旨味、ちゃんと理解して頂けました〜、ほっ。集まってくれたみんなの幸せそうな顔が最初から最後までみれて、あ〜、本当にやれて良かったな〜、しみじみ、、、。一時はマイナスモード全開になって、止めとこうか、なんて気分になってる私を励ましてくれた友よ〜、ありがとう〜!   そして、バークレーでお世話になったみんな、ありがとう〜!   デザートで心もお腹も満たされたみんなの顔を見送ったのが夜中12時も過ぎていて。  私は幸せの余韻が続く空間で一人、とにもかくにも、ほ〜〜〜っとして嬉しさをじわじわと感じながらもほんとに夢の中にいるみたいって思って。 現実ってどんどん進んでいくのだけれど、心の中の大切なシーンって忘れっぽい私でも、何度も何度も思い出すことが出来るし、この夜のスペシャルな空気は、心の宝物に確実になったから。

知り合いも誰一人いなかったバークレーに飛び込んでいった去年の秋。一年過ぎ、心の宝物って小さなものから大きなものまで様々。辛いことでも、その感情を感じ入ることでその次の喜びが増したり、人の優しさがより響いたり、ほんといろんな想いが人を深くしていくのかな〜なんて思うのであります。

img_2449

ありがとう〜バークレー、ありがとう〜シェパニーズ、ありがとう〜みんな。