Blog
2016.10.31
Chez Panisse で約一年、、。

img_2541

昨年10月の末からシェパニーズのペイストリーでインターンシップを始めて、フィリピン行ったり、ポートランド戻ったり、またバークレーも戻り、そして日本と、いろいろ理由があって移動しつつも、気づけばもう9月、ほぼほぼ一年近く経つことに。

この9月でシェパニーズのインターンも卒業!?ということで、私の両親も大阪から初U.S.Aやって来ました〜。 両親が来てくれたことで、私も約一年ぶりにお客さんとしてシェパニーズに。ほんとワクワクするところですねここは。何の魔法かしら?って思ってしまうキラキラとした空気。お店の照明であったり、季節の草花、フルーツのディスプレイであったり、出迎えてくれるスタッフ、オープンキッチンの中で真剣にウッドストーブの炎と食材と格闘しているスタッフ、結構大きな声で談笑しながら作業しているスタッフもいます。ピークに忙しい時間帯であったとしても、ハッピー度は変わらないという。 それって、本当に良いお店の法則なのかも〜。

写真は、ランチで前菜、メイン、デザートも楽しんだ後に、スペシャルサービスで、ジャジャ〜ン、右はフルーツボウル!洋梨とぶどう。 左が、レストランのディナーのデザートの後に更に〆のプチデザートとして付く2粒のお菓子というのがあって。そのプチお菓子を盛り合わせてくれたもの。 どちらのお皿にもグレープの葉っぱを敷いて、素敵なしつらいに。 このちょっとした一葉、これが魔法のかけらなんだな〜って思う。 そのために私たちインターンが、農家さんからフルーツや野菜に混じって、飾り用につかう何かしらの葉っぱも運ばれてくるので、毎朝、葉っぱの一枚いちまいを手に取り、茎と葉っぱのギリギリのところにハサミを入れカットし、濡れフキンで汚れを拭き取っていく作業があってのことですもの。

そして、白いクッキーの右上に茶色の二粒。見た目、地味なアーモンドのココアパウダーがまぶしてあるダジェというお菓子。 アーモンドを低温でじっくりロースとした後、キャラメルを絡めるのですが、アーモンドが十分に温まった、そのタイミングで合わせるというの重要で、その絡まったアーモンドは、すぐ塊となって隣のアーモンドたちとくっついているのを、素手で一粒ずつ外していくのです。 それが、もう、めっちゃ熱い!そりゃそうですよ、ほぼ出来立てのキャラメルって何度?100℃越えてますよね? それをペイストリーのスタッフ総出で(といっても4人位ですが、それでも一つの作業をみんなでやるってあんまりないから特別な感じ)Hot! Hot! Hot!って声が出ちゃう。でも、温度が下がってしまうとキャラメルが飴の様に固まってしまうから、そのまだ伸びる段階で離していかないといけないので、時間との戦いです。 その次にチョコレートを湯せんにかけ、テンパリングされたものを、冷めたキャラメリゼアーモンドにふりかけて、チョコレートコーティングしていきます。一度コーティングしてもチョコの層は、ごく薄いので、もう一度キャラメリゼアーモンドを冷やし、テンパリング作って。チョココーティングしての繰り返しを4〜5回はやるのです。  そして最後にまた冷やしてからココアパウダーをまぶしつけて出来上がり。  パクッと一口で終わってしまう、このアーモンドの一粒のお菓子、こんなに手間ひまかかっているのです。そんな説明ある訳もなく、ちょこんと出てきますが、私の心の中ではHot!Hot!Hot!の光景が出てくるので、有り難さもひとしお。

白いクッキーの右下の、シトラスピールの砂糖菓子も4月のブログ(2016,04,18)に、作る方の工程を書いていますが、ほんとこちらも手間ひま〜なお品。

デザートメニューのトップに必ずあるこのフルーツボウル。アリスの「最高のフルーツはどんなデザートにも勝る」という考えの元にある大切はメニュー。素晴らしい教えだな〜って思う。

フルーツボウルの洋梨、ウチの両親もいたく感動しておりました。これはすごい!と。皮は剥かず、そのままカットだけして食べるのですが、とろける美味しさとは、このこと。すんごくなめらかで含んだ水分甘みもパーフェクト。 これも毎朝、これは今日が食べ頃のベストな状態なのか、洋梨の上の芯の周り部分を優しく押して、固さをチェックして、見た目の綺麗さも、ぐるりと一周ししてチェック。フルーツボウルは、そこを通過出来たもののみが選ばれてるのだから、このチェック時間もかなり大事なのです。

もう、自分が一年前にお客さんとして来た時と、目線が全く変わっていることに自分でも驚きです。感動は一緒だけど、細かな部分にも、ふぁ〜ここがまたすごいな〜って思える。 照明の灯りひとつにしても、朝番の時は私が、ペイストリーの中では一番のりで到着、まだまだ外も暗い中、間接照明のオレンジ色の灯りは、もうすでに全てつけてくれています。切れている電球がないか毎日チェックしている担当に人がいるのです。スタッフの仕込みの始まる朝早いころから、この雰囲気作りのあかりが灯してあるということに、小さく感動している私。 ここは、シェパニーズ劇場なんだな〜って、素敵な照明がいつもついている。日本人の私は、もったいない精神で電気代が、、、なんて思ってしまうのですが、、。これで豊な気持ちで仕事できたり、殺伐さが緩和されたり(シェパニーズに殺伐さは、あまり無いと思われますが)こういった、ひとつ一つがシェパニーズを作っているのだな〜って。 このおじさん、いつも何をしている方なんだろ〜?って思っていたのですが、お店のメンテナンス係で、オーブンの調子が悪い、、、って時も電気経路などチェックしてくれて復旧してくれたり、お店40年以上もやっていると、いろんなところがガタがきていたり、そういうところをお直しって必要だから、シェパニーズを知りつくしている長年のスタッフがいるというのも素晴らしいな〜って思います。

インターン始まった当初は、もう言葉も分らない(ま、今もですが)目の前のことに必死すぎて、顔を上げることも出来ないくらいでしたが、ほんとに少〜しずつ周りの人のことも見れるようになってきて、シェパニーズが作り出す在り方を、近くで見て感じられたことが、代えることの出来ない自分の大きな収穫だったのだと思う。 でもまだまだもっと時間が経った時に、さらにこの一年経験していたことのスゴさを感じそうな気がしている私もいて、今はまだぽーっとしているというのが、正直なところかもしれないのです。

想像もしていなかったシェパニーズのインターンシップ生活も、終わりというのが来るものですね。たくさんの感謝をどうかたちにしたらいいのか分らなかったのだけど、友達のアドバイスもあって、ある企画を催しました。 その内容は、つづく、、☆

img_2456

シェパニーズのペイストリー、インターンシップ最後の日にペイストリースタッフと、Thank you so much!